
日本よりも薄毛人口が多い!フランス人はハゲについてどう考えている?
スキンヘッドやハゲについて新しい視点をお届けしてきたNOHAIRS。
今回は趣向を変えて、日本人以外の目線から、海外のスキンヘッドやハゲ事情についてお伝えする。
他の文化圏での捉え方を知ることで、薄毛や髪型についての視野が広がる機会になることを願っている。
今回はフランス出身のサイモンさんをゲストに迎え、ハゲに対する捉え方が日本とどう異なるかをお聞きする。
フランスは日本よりも成人男性の薄毛率が高いことに加えて、お洒落や美を愛する国民性を持つことで知られている。
美意識の高い彼らは『ハゲ』をどのように考えているのだろうか?
●ゲスト
サイモン・ベンギギさん

生粋のパリジャン。26歳のときに来日し、現在は日本人の奥さんとお子さん3人と暮らしている。
●聞き手
高山芽衣

NOHAIRS代表
東ゆか

NOHAIRSライター。フランスが大好きで、数回のフランス短期留学を経験。サイモンからフランス語を教わっている。
『ハゲ』は悪口にもならないし、『ハゲ』を悪口にすることはない

高山 まず、フランスの男性視点で『ハゲ』をどう捉えているかをお聞きしたいと思います。日本だと「ハゲはダサい」とか、「ハゲたら終わりだ」なんて思う人が多いんですが、フランスの男性はハゲをどう捉えていますか?
サイモン フランスだと『格好悪い』という印象はないね。別に普通*のこと。
*薄毛が『普通』なフランスの薄毛率
2009年にアデランスが発表した『世界の成人男性薄毛率』によると、フランスは4位で、日本は14位。日本よりフランスの方がハゲ率が高い。
(参照:https://fundo.jp/28895)
東 本人も周りもあまり気にしないの?
サイモン 気にしないね。日本だと、確かにハゲている人はあまり格好良くないと言われてるみたいだけど、フランスだとハゲは仕方のないこととして捉えられてる。日本だと『ハゲ』というのは悪口になるみたいだけど、フランスでは悪口にもならないよ。人を罵るためのもっと酷い言葉がたくさんあるからね(笑)
東 日本だとハゲを髪の毛で覆って、隠そうとする人がいるけど、フランスではそういう人は全くいないの?
サイモン:たまにいるね。でもそうすると、かえっておかしな見た目になるから、僕の友達がもしそうしていたら「それは止めた方がいい」って言うよ。
高山 隠さない方がいいってことを伝えると。
サイモン そう。絶対に言う。まぁそれは僕の考え方だけどね。
高山 日本だとそれも言いづらいんですよね。
東 そうそう。
サイモン なんで?
東 やっぱり日本で『ハゲ』は悪口なんだよね。だから「君のハゲ、髪の毛で隠さない方がいいよ」というのが言いづらいんだよね。「君がハゲてるの知ってるよ」って伝えることにもなるし。
サイモン フランスだと「お前、ハゲ!」と言われても「それで?」としかならないね。
東 ”Et alors ?*”ってやつだね。
*”Et alors ?”・・・フランス語で「だから何?」という意味。ミッテラン元大統領が愛人問題について記者から質問された際にこのように返答したことで、世界でもよく知られるフランス語の一つとなった。
高山 日本では、友だち同士やテレビのバラエティ番組で、見た目をいじるというじゃれ合いのようなやり取りがあります。海外ではそういうことがあまりないと聞いたんですけど、ハゲいじりとか、見た目に対するいじりというのはあるんですか?
サイモン ないね。友だちに何かを指摘するとしたら、「お前その服似合ってないぞ」とか、「ご飯の食べ方が変だよ」とかそういうことだね。あくまでも、その人が自分の力で変えられることで、おかしいと感じることを指摘する。「自分でなんとかできることだから、なんとかしなさい」って。でもハゲはどうにもできないから、他人がどうこう言っていいことじゃないよ。
フランス人女性にとってハゲはセクシー!?

高山 フランス人女性は薄毛の男性を見て、どう思っているんですかね?
サイモン 日本と同じで、気にする人もいれば、気にしない人もいると思う。気にしていない人が多いかな。僕は「ハゲは嫌」と言っている女性に会ったことはないね。逆に「ハゲは格好良い」とか、「髪の毛が少ない人が好き」と言っている女性には会ったことがあるよ。
高山 どうしてなんですかね?セクシーということですか?
サイモン イメージだね。ブルース・ウィリスってすごく格好良いでしょ?みんながブルース・ウィリスではないけど、みんなが「ハゲ=ブルース・ウィリス」と思いたいんだよね。
高山 東さんはフランスに行ったときに、見た目の捉え方について、日本とどんな違いを感じましたか?
東 髪型の持つ印象の違いみたいなものは感じなかったけど、コミュニケーションを積極的に取ろうとする国だから、それで相手の印象が決まることがありましたね。人って相手をよく知ることで、相手のことを好きになったり嫌いになったりするじゃないですか。コミュニケーションを取るにつれて「この人感じが良いな」「仲良くなりたいな」と思うことが多かったです。日本は、日本人同士のコミュニケーションが薄い分、見た目が与える印象や、どれぐらい常識的に振る舞えるかを重視する国なんだと感じました。
功率を重視してスキンヘッドを選ぶ人は多い
高山 日本だとスキンヘッドという言い方をしますけど、海外だとボールドヘアですかね。日本の職場だと、お客さんに怖がられたり、イメージが良くないからという理由でスキンヘッドはNGという会社もありますが、フランスの企業にもそういう規則のようなものはあるんですか?
サイモン それはないね。就業についての人種差別はあるけど、それはまた別の話。髪の毛に関しては、あってもなくても関係ない。タトゥーに関しては、もしかしたら問題になる業種もあるかもしれないけど、髪型は問題にならないね。
僕の友だちで、ハゲていないけど、あえて剃っている人がいるよ。それは仕事関係で邪魔になっているからという理由でね。彼は病院の緊急救命室で働いていて、患者さんのケアをするときに髪の毛が邪魔になったり、パニックになった患者さんに髪の毛を掴まれる危険性があるから剃っているんだ。そういうことは、たくさんの人がしてる。仕事の関係で、髪の毛があった方が邪魔だったり、暑かったり、手入れが面倒だったり。だから意外とスキンヘッドや坊主が気にされることはないね。
高山 お洒落のためというより、功率を重視しているようですね。
サイモン そうだね。髪質によっても、伸びたらアフロみたいになる人もいるんだよね。嫌じゃない?それなら剃った方が良いからそうするんだよね。
ハゲていようがいなかろうが、それは他人に何の関係がある?

高山 日本人の薄毛男性が自信を持つためにはどうしたらいいでしょうか?
サイモン 気にしないことだね。でも難しいよね。どうしても気にしてしまう人は、他人からどう言われても気にするだろうから。他人の目線を気にするよりは、自分にできることをする方がいいよね。僕は日本人がハゲを気にすることに対して、文化的に理解ができないんだ。
例えば僕は何日か前に坊主にしたんだけど、それは髪が伸びちゃって、自分でも格好悪いと思っていたから剃ったんだ。そこで誰かに「どうして坊主にしたの?」と聞かれたとしても「君に関係ない」と答えると思う。どんな髪型をしていようが、他人には関係ないよ。
だから気にしないでください。そのままで良いと思います。
高山 ありのままの自分を肯定するんですね。東さんはどう思いますか?
東 安直ですけど、人は見た目よりも中身ですよね。見た目がどうであれ、素敵な人だと感じれば、その人のことが好きだし、友だちでいたい、仲良くしたいと思うものだと思います。つまり毛があろうがなかろうが、どうでもいいんじゃないですかね。
高山 私もNOHAIRSの代表をしていることで、「スキンヘッドの人が好きなんですか?」とよく聞かれるんですけど、そういうことではないんですよね。自分のスタイルを持っていて、それを誇っている人が格好良いと思うので、髪の毛のあるなしに関わらず、自分に自信を持ってほしいと思います。
『日本人には自信が足りない』というのが、世界からの日本人に対する評価だ。
それは日本人の美徳とする謙虚さの裏返しなのかもしれない。
しかし、『謙虚さ』と『自信のなさ』は同義語ではないはずだ。
自分を肯定して、自信を持って生きた方が、楽しいに決まっているし、ましてや髪の毛が人よりも少ないことぐらいで自信を失う必要はないだろう。
また、仲間内のじゃれ合いとして許されている「ハゲをイジる」ということも、本人ではどうすることのできない身体的な特徴をあげつらって、本人が笑えないことを周りが勝手に笑いとして悪用しているに過ぎない。
本当の友だちや仲間なら、そのようなつまらない習慣を今すぐやめるべきではないのだろうか。
視野を広げることで気付かされることはとても多い。