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スキンヘッドも生き方も、好きだから選んだ

ネオン輝く新宿・歌舞伎町。区役所通りから通りを一本入った地下に、一風変わったBARがある。

『BAR & FIGHT 地下闘技場』だ。その名の通り、店内にリングを設置したお店である。

今回お話を伺う佐々木愼さんはこのBARの店長。52歳とは思えない若々しい顔つきが印象的だ。

「好きなことにこだわってきたからしょぼくれずに済んだ」という彼の好きなスタイルの一つがスキンヘッドだ。

スキンヘッドはずっと憧れのスタイルだった

もともと祖父が「子どもは坊主でないとダメ」という教育方針で、小学生の頃からバリカンで坊主でした。

中学校は男子の髪型は坊主という校則の学校で、高校1年生までは坊主で過ごしていました。

高校生になると洒落っ気も出てきて、伸ばしたくなって伸ばしたんですが、生まれてから15年間坊主だったので、いざ伸ばしてみると耳に髪がかかるのが鬱陶しく感じましたね。

それから髪を短くして立てるようになりました。

1986年、高校3年生のときに黒人のヒップホップグループ・Run-D.M.C.を知って、格好良いなと思ったんです。

それからヒップホップを聴き始めてダンスも習いましたが、そこでも意外とスキンヘッドの人が多かったので、ますますスキンヘッドにしてみたくなりましたね。

でも、バイトをすることを考えるとスキンヘッドだと雇ってくれないところもあったので、スキンヘッドにすることは我慢していました。

兄と僕は喘息の強い薬を飲んでいたので、その副作用でそのうちハゲるという話も聞いていたし、ハゲ家系ということもあったので母から「あんたもどうせお父さんがこんなだし、ハゲるんだから」と言われていました。

そんなこともあって、兄と「ハゲたら剃っちゃうよな」と話したり、スキンヘッドの黒人さんに憧れていたので、自分も剃りたいという気持ちはずっと持っていました。

前代未聞!大学の卒業式でモヒカン・・・からのスキンヘッドデビュー

大学時代はイベントサークルに所属していて、卒業式のときに何かしようということになったんです。

イベントサークルに所属している限りは、人前で目立たなきゃいけないとずっと思っていました。みんなと同じスーツじゃ目立たないからと、そこでモヒカンに。

『タクシードライバー』という映画の中で、主演のロバート・デ・ニーロが、M65という軍服を着て、髪型は幅の広いモヒカンにして、大統領候補を暗殺しに行くシーンがあるんです。

それがすごく格好良くて憧れでした。

当時、同じ大学に在籍していた兄が留年した関係で、卒業年度が僕と同じだったんです。兄はラッパーのクール・モー・Dみたいな格好で、僕はデ・ニーロと同じM-65を着てモヒカンで卒業式に参列したら、学生よりも先生たちに喜ばれました。

「こんな格好で卒業式来たヤツいないぞ」って。

ただ親からは「ずっとその格好でいるの?」と言われたので、卒業式の2日後ぐらいに全部剃ってスキンヘッドにしました。

——親御さんは驚かれなかったんですか?

それがちょっと面白いんですが、うちのお袋がまた古風な人で、パーマかけるとか、染めるのは不良がすることだと思っているんです。

だけどずっと坊主にしていたから、スキンヘッドはOKだったんですよ。「いいじゃん」「さっぱりしたな」と言われました。

スキンヘッドがキャラクターになったお笑い芸人時代

大学卒業後、23歳のときにお芝居を始めた佐々木さん。

劇団員時代は役が限られてしまうため髪を伸ばしていたそうだが、お笑い芸人に転身したことで再びスキンヘッドに。

当時、スキンヘッドだったことがキャラ付けとなったそうだ。

お笑いライブの時にコンビ名を紹介されて、わーっと出るじゃないですか。

わーっと出てた後に、お客さんが拍手しながら「あれ?」となるんですよ。

相方は普通の格好なのに、スキンヘッドでスーツ姿の僕に一瞬びっくりしてたみたいなんです。

そこで最初のつかみで「怖くないですよ〜」と言うと、まずドンとウケるんです。

ネタ中もツッコミの僕がツッコんで、相方がツッコミに対して逆ギレツッコミみたいなボケを必ず入れていたんですが、そのときに僕の頭をパンと叩くとすごくいい音がする。

それがまたドンとウケる。

怖そうな僕がツッコミ入れていくというのは、図式として当たり前なんですね。

でも僕はハゲていて、本来だったらいじられる立場。でもスーツなんて着ちゃって、いかつくなっているから、いじるにいじれない。

そこで逆ツッコミでスパンと頭を叩かれるというのはギャップがあってけっこうウケていたんです。うまいことスキンヘッドであることをネタに活かせていましたね。

インパクトが大事——印象がないことが一番ダメ

——イベントサークル・お芝居・お笑い、そして今はBARのオーナーと、人前に立つことが多かったわけですが、心がけていることはありますか?

人にインパクトを与えるように意識しています。何をするにしても印象がないというのが一番良くないことだと思うんです。

よくあるのは名刺を頂いて挨拶しても、何年後かに名刺入れを開いたときに、「これ誰だっけ?」という人が多いんですよ。

特徴を名刺にメモしてるので、それで思い出すんですが、その作業がちょっと無駄だと思っています。

やっぱり最初に会ったときに、一発で覚えてもらえる方が面白いだろうなと。

インパクトというところと、あとは清潔感。

年齢を重ねれば重ねるほど、おじさんは汚いものだと思われてしまう。

学生の頃、一緒にバントをやっていた先輩が「俺は女性向けの商品を作っている会社へ就職したい」と言っていたんです。

「そういう企業は女性の割合が多い。女性が周りにたくさんいると、男性は女性から嫌われたくないから、いつまでも身なりをきちんとしようとするものだ。

だからそういう職場に身を置きたい」と言うんです。

それはその通りだと思ったんです。若くても、格好良くても清潔感がないと嫌われますよね。

インパクトと清潔感、それが大前提で、あとは自分の好きなものを着るようにしています。

身体にフィットしたのもよりも、少しダボっとしたものが好み。 シャツ:Dickies パンツ:ユニクロ アクセサリー:ジャン=ポール・ゴルチエ メガネ:ジャン=ポール・ゴルチエ

そもそも清潔感とは?

——清潔感と一口に言っても服のシワをなくすとか、ヒゲを整えるとか、色々とあるのではないかと思うんです。佐々木さんはどうやって清潔感を出そうとしていますか?

頭とヒゲは2日に1回ぐらい剃っています。よっぽど体調が悪かったり、時間がなくて剃れないときは必ず帽子を被るようにしています。

綺麗なスキンヘッドの自分を見てほしいですからね。

汗や脂も出てくるので、頭がテカらないように必ずウェットのボディペーパーを携帯しています。

ヒゲもバリカンで6mmと決めて整えています。

あとは汗をかいたらまず拭くこと。

夏場は店に何枚か替えのTシャツを置いていて、途中で汗をかいたら着替えて仕事をしています。

そこから人に会うときは体を拭いて、また別のTシャツを着て出かけるようにしています。

自分の好きなことにこだわったからしょぼくれずに済んだ

——清潔感にとても気を遣われているんですね。52歳と伺いましたが、もっとお若く見えます。

子供の頃に見てた50過ぎのおじさんは、しょぼくれている感じの人が多くて物凄く嫌でした。

僕が若く見られるのは、ずっと好きなことをしてきたからだと思うんですよ。

世の中のすべての人がそういうわけではないと思いますが、お金をもらうために本当は嫌なことを我慢して仕事としていく人が多いように思います。

それが仕事というものなんでしょうけど、それに押しつぶされてしまう人がいますよね。

それが独り身ならまだしも、子どもや奥さんがいるとなったら、自分のやりたいことを我慢しなきゃならないことの方が多いじゃないですか。

しかもお金もたくさん稼がなきゃいけない。今の時代は頑張ったとしても、それがままならないこともありますよね。

そうなったときに、やっぱり好きなことをするのがものすごく大事だなと思っています。

去年35年振りに中学の同窓会があったんですね。

会うのが中学校の卒業以来という奴らもいて、「こんなに老けた?」って人がいっぱいいたんですよ。

僕なんて独り者なのでその部分では恵まれていると思うんですけど、僕はたまたま自分の好きなことにこだわって、好きなことしかしてきませんでいた。

そういう面ではきっと楽しい人生を送っているので、老け込まずに済んだのかなと思います。

上段は大学の卒業式の写真。下段はジャンポール・ゴルチエのマルイ店舗限定モデルを務めたときの写真。同ブランドはスキンヘッドの方が映えると言われており、通っていたお店の店員さんから依頼があったのだそう。

オンリーワンな店で人生を回収する

このお店は今までやってきた好きなことの集大成のつもりで始めました。

役者、芸人の後に15年飲食店で働いて、それからイベント会社に6年半勤めました。

45歳のときにそれまで働いていたイベント会社を辞めて、どうやって自分の手持ちのカードでこの先生きていくかを考えたんです。

人前で喋る仕事で食べていくのは難しいし、イベント会社もほとんどが縁故採用で、就職できたとしても先が見えない。

飲食店に再就職してもあと15年ぐらいで定年がきてしまう。
それなら自分の店を持つ方がいいなと思ったんです。

でも、ただ飲食店をするだけだとつまらないので、今まで携わってきたイベントやお笑いを巻き込もうと思いました。

そうじゃないと今までの人生が無駄になるので。人生を回収するためにこの店を始めました。

リングを利用して格闘技イベントやお笑いライブ・クイズイベント・SMショーなどが行われている。「歌舞伎町で生き残るにはオンリーワンの場所じゃないと」

ルールには一度唾を吐け!

開催するイベントがマニアックなので、ディープな人たちと関わる機会が多いです。

そういう人と会うと、広く一般に見えているものは”うわずみ”で、ニッチで隠れているものの方が深くて面白いと感じるんですね。

そういう人たちが好きに遊べる場所がうちなんだと思ってます。
「うちは解放区だよ!」と言っています。

そもそも僕自身が決まっているルールに対して、一度唾を吐くような人間なんです。

日本はなんでも横並びですけど、やりたいときにやりたいことをすればいいと思います。スキンヘッドもそうですよね。

会社を辞めたときにつなぎで派遣で働こうとしたんですが、説明会で「スキンヘッドとヒゲはNG」と言われてその場で退席しました(笑)

今は特に生き方が多様化しているので、他人の言う「あれはダメ」「これはダメ」に縛られても仕方ないんじゃないかなと思っています。

 

髪型も生き方も、自分のやりたいことを貫いた佐々木さん。

人生のスタイルを選び取り続ける勇壮さを感じた。

モデル:佐々木愼 BAR &FIGHT地下闘技場店主 / 撮影:長谷川さや / インタビュー:土屋リサ / 編集構成:東ゆか

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