
スキンヘッドは僕の潔さとポジティブの表れ
ハゲを強みに変えた人へのインタビューシリーズ。
清水浩二さんは15年程前、35歳のときに脱毛症を発症。10年程前の誕生日に思い切ってスキンヘッドにしたのだという。
一緒にインタビューに答えてくれた奥様の西めぐみさんはグラフィックデザイナー。
清水さんが経営するからあげ専門店『しあわせのからあげキッチン』(松戸市)の内装やフライヤーのデザインも担っている。
「第一印象が強烈で、気になってしまって連絡を取るようになったんです」と、出会った当初を振り返る西さん。
『ハゲ』がその縁をつないだ仲良し夫婦だ。
ステロイドなんて塗れるか!ハゲたのでスキンヘッドにしました

——清水さんがスキンヘッドにした経緯を教えてください。
清水 35歳のときに脱毛症になりました。抜け初めの頃に床屋さんから「ちょっと危ないね」と心配されていたんですが、自分ではあまり気にしていませんでした。
それまでは毛が多いぐらいだったので、薄くなってきてちょうどいい感じになりました(笑)
そうしたら眉毛まで抜けるようになってしまったんです。
皮膚科に行ってみたところ、塗り薬のステロイドを処方されたんですが「ステロイドなんて塗れるか!」と思って捨ててしまいました。
——治療したいとは思いませんでしたか?
清水 思わなかったですね。程度の差こそあれ、みんなそのうちハゲてくるじゃないですか。
まさかこんな形でとは思いませんでしたが、ハゲてきたらスキンヘッドにしてしまおうと思っていたんです。
脱毛症は8割の人は完治するらしいんですが、床屋で指摘されるようになってから2、3年後にはよくなるどころか全身の毛が抜けてしまいました。
もうめんどくさいと思って、10年ほど前の誕生日にまばらに残っていた毛を剃ってスキンヘッドにしました。
——切り替えが早くて、潔いですね。脱毛症以外の悩みにぶち当たったときも、そうやって乗り越えてこられましたか?
清水 だいたいそんな感じですね。「しょうがないな」と思ってあまりこだわらないです。
子どもの頃は、くよくよ悩んでしまうような性格だったんですが、18歳のときに英会話を習い始めたんです。そうしたら人と話すのが楽しくなって、性格も変わりました。
何事もうまくいかないことにはこだわらずに、くよくよせずに前に進めるようになりました。
西 本当に潔いですよね。私が彼に惹かれたのもこの前向きな潔さだったんです。
ポジティブで潔いところに惚れた

清水 妻と知り合ったのは共通の知人のビジネス立ち上げパーティーでした。
初対面の第一声が「俺ハゲてるよ」だったんです。当時はちょうどスキンヘッドにしたてで、そのときはハットを被っていました。
西 なんて潔い人なんだろうと思いました。すごく印象に残って、そのときは連絡先を交換しなかったんですが、後々気になって仕方がなかったんです。
だって自分からわざわざハゲてるって自己申告する人っていないじゃないですか(笑)
面白そうな人だなと思って、共通の知人に頼んで紹介してもらいました。それからまた会いにいって、親しくなってという感じでした。
——それまでに、そんな風にポジティブな反応をしてくれる人はいましたか?
清水 スキンヘッドにしてから「ハゲてるのに面白い」、「ハゲてるのに明るい」、「ハゲてるのに頑張っている」と言われるようになりましたね。
「ハゲ関係ないだろ。ハゲだって頑張るよ」とは思います(笑)
あとは、人からよく覚えてもらえるようになりましたね。

——ご結婚された今、清水さんへの印象は変わりましたか?
西 私自身もどちらかというと前向きな性格なので、思い悩まない者同士、一緒に暮らしていてとても気楽です。
家に帰ってきて仕事の愚痴をこぼすようなこともないんですよ。
清水 愚痴なんて家に持ち帰ってもいいことなんてないですからね。
西 彼はお酒もよく飲むんですけど、悪口を言ってストレスを発散させるような乱暴な飲み方はしないんですよ。楽しく明るく飲む感じ。
だから酔い潰れるなんてこともありませんし、大酒飲みだけどとても平和なんです。
清水 悪口を肴になんてしたくないですからね。
西 こういう彼のさっぱりした性格が素敵だと思っています。つまり、髪の毛があるとかないとか、パートナーを選ぶ上で関係ないんですよね。
——清水さんがハゲだから気になったのではなくて、きっとハゲを隠さず、ネガティブに捉えていないから惹かれたということですよね。
ハゲていることを思い詰める男性についてどう思いますか?
西 「ハゲだからモテない」、「ハゲだからダサい」というのは本人の思い込みですよね。
ハゲなんて気にしないで、自然体でいればいいんだと思います。
女性は優しくしてもらったり、会話をしていて楽しかったりすると男性に魅力を感じるものなので、勝負するなら内面や人間性だと思うんですよね。
あとはなんと言ってもやっぱり大事なのは清潔感ですよね。
ハゲは枕カバーも汚れないし、髪の毛も落ちない。排水溝も詰まらないから掃除も楽ちん。
ハゲと暮らすといいことばかりですよ(笑)
外見を気にするなら、ハゲを無理に隠すよりは、それ以外のお洒落を頑張ったらいいんじゃないかと思います。
髪の毛がある人以上にお洒落を楽しめる、ハゲの必須アイテムとは?

清水 僕が薄毛の人にオススメしたいのはハット。髪型を毎日変えるのは難しくても、ハットをいくつか持っていれば毎日でも変えられますよね。
同じ人に会ったとしても、毎回変えればお洒落な人だと印象付けることができます。同じものを長く使えるし、ファッションの幅も、ものすごく広がるんですよ。
——今日のハットも素敵です!使いこなすには少しハードルが高い気がするんですが、選び方にポイントはありますか?
清水 あまり色の主張が激しいものより、シンプルでかっちりしたものの方が服と合わせやすいですね。色味に関してはリボンをポイントにしたらいいと思います。
——ハットと合わせる服装のポイントはありますか?
清水 シンプルにするのが基本ですね。夏は特にさらっと一枚だけ着ることがほとんどだと思うので、ハットを色味があるものにすると映えると思います。
冬はみんなが暗い色のコートやダウンを着る時期なので、ハットを真っ赤にするのもいいですね。
西 素材によって雰囲気も変わりますよ。
清水 夏は通気性のいいストローハットで、冬はニット帽。季節によって頭のファッションも変えられるんです。
季節ごとに髪型を変えるとなると大変ですけど、ハットや帽子ならそれができてしまうんですよ。

——ハットの他にもお洒落のコツはありますか?
清水 僕も最初は全然わからなかったので、人から教えてもらいました。雑誌やネットで色々な情報に触れてみるのもいいと思います。
それと、みんながどんな格好をしているのかを見て、こういう風になりたいという理想像があるといいですね。
そこから自分の方向性が決まるので、服装を選びやすくなると思います。
最近だとジェイソン・ステイサムやドウェイン・ジョンソンといったスキンヘッドの格好良いハリウッドスターもいますよね。そういう人たちのファッションを参考にするのもいいと思います。
西 昔の写真を見せてもらったんですが、今の方が断然格好良いです。ハゲてから服装に気を使うようになったんだよね。

——最後に薄毛や脱毛症に悩んでいる人へ一言お願いします。
清水 僕みたいに全身の毛が抜けてしまう人は、1000人に1人しかいないみたいなんです。
『1000人に1人の不幸』と捉えてしまえばそれまでだけど『1000人に1人の逸材』だと思えばポジティブになれますよね。
今では『ハゲのからあげ屋』ということで松戸市中の人たちから覚えてもらっています。ハゲが個性としてタグ付けされました。
スキンヘッドにしたことで、もともと清水さんの持っている潔さや明るく前向きな性格が際立ち、それに西さんが惹かれた。
人は外見ではない。しかし、外見にもその人の内面が表れるのだ。
モデル:清水浩二 『しあわせのからあげキッチン店長、西めぐみ グラフィックデザイナー / 撮影:長谷川さや / インタビュー:高山 / 編集構成:東ゆか