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「ハゲはユーモラスで明るくあるべき!」を地で行く男の美学


以前、取材させていただいた
石橋徹さんから「イチオシのハゲ仲間がいる」と紹介してもらったのが原敏さん。

圧倒的に明るい彼が推薦するNOHAIRSに期待にして取材に向かった。

 

どんなお仕事をされていますか?

(株)ネクストの宣伝広報部で、グループ会社のユニオンエンタテインメント(芸能プロダクション)所属のタレントやアーティストのメディアプロモーションを中心とした仕事をしています。

この会社に転職したのは約7年前。

遡って、大学卒業してからの経歴は、まず化粧品会社のNOEVIRに入社して、横浜支店で営業していました。バブルが弾けたころですね。

でも、学生時代から美術やグラフィックデザインが好きで、広告制作の仕事をやりたい一心で後先考えずに、2年半で辞めちゃいました。

それから、バイトしながら渋谷の日本デザイナー学院に2年間通いました。まだアップル社のマッキントッシュなどのコンピューターが一般に普及する少し前のアナログ時代ですね。

そのあと、デザイン制作会社にすぐ入りたかったけれどなかなか難しかったんです。

ただ1つ縁があって、TBSテレビの宣伝部で番組宣伝広告制作に関わる仕事にデザイナーとして就くことができました。番組宣伝、いわゆる『番宣』です。

私が所属したセクションは、電車内の中吊りポスターや駅構内のポスターとかの屋外広告、新聞雑誌とか主に紙媒体の広告を企画からデザイン制作し、世に出していくセクションでした。

広告物の制作進行や撮影、印刷に至るまでのすべてのスケジュール調整も含めた仕事を18年くらいやってましたね。

あらゆる新番組の番宣ポスターなど数百番組の制作に携わってきました。

 

中島信也さんと繋がりがあるとお伺いしましたが、どういう経緯で?

デザイン専門学校を卒業してから、なかなか自分の思い描くような広告制作会社に就職することができず右往左往してた時期がありました。

とにかく少し遠回りでもいいから広告の現場を味わおうと、CM美術っていうTVCM撮影で使うセットなどの大道具を作る会社でバイトしてたんです。

そのときに森高千里さんのサントリー『アイスウォッカ』のTVCM制作で使用するクロマキー撮影用の大きな布設置(映像合成をするための撮影用のグリーンかブルーの布)の依頼がありました。

その撮影のCMディレクターが東北新社の中島信也さんだったんですよ。

しかも大貫卓也さんという大好きなアートディレクターとタッグを組んだ現場で。

広告制作の世界に進みたい若造には夢のような空間でした。もちろん森高千里さんも全盛期で大好きだったので。

もう25年くらい前ですね。あの時、信也さんまだツルツルじゃなかったんですよ、当然俺も。むしろロン毛(笑)

NOHAIRS新年会での2ショット


そして四半世紀経った先日のNOHAIRS新年会で、その時ぶりにまさかの信也さんとお話ができました。

人生、いや、『ハゲ生』がもたらすミラクルで最高な再会!生きてるとなにがあるかわからないもんですね。

 

いつからNOHAIRですか?

やばいなって感じ始めたのは20代後半くらいですかね。

そのころは少しだけ残して金髪にしたんです。眉毛もヒゲも。

とにかく「顔が名刺だ!」くらいのクレイジーな勢いで、そんな風貌でテレビ局内に居座ってました。

所ジョージさんや竹中直人さんよりも前に『ベリーショートのパツキンハゲ』は俺がやってるんです(笑)

当時は美容院に通ってたけど、そのうち美容院行く必要ないなって思って床屋に変えました。

今思えば潔くツルツルにしちゃえばよかったんだけど、そのころはまだ無駄なこだわりを持っていて、頭頂部をちょっととんがる形に整えてもらってたんですよ。

そのうち、自分で道具買ってセルフでやれば楽だなって思って、ヒゲトリマーを買ってきて自分で整えるようになりました。

ヒゲトリマーって電動シェーバーとは違って、アタッチメント操作でミリ単位でヒゲを整えられる家電なんです。

T字カミソリでやるのも考えたけど頭切って血が出そうで怖いから、ヒゲトリマーの1番短いのでやれば大丈夫だろって思って。

最初に使ってたヒゲトリマーは、今となってはかなりレアでNational製のやつ。

もうNationalロゴの入った家電製品は製造してないからね。これが古くなってきたから最近BRAUN製のものに買い換えました。

もちろんヒゲも一緒にトリマーで手入れしてます。3ミリのアタッチメントで。

頭とヒゲは2、3日に1回手入れしてます。

ですのでツルハゲって、楽だと思われがちですが月10〜15回は手入れしてるので、案外面倒なんです・・・。

ドライヤーかけなくていいのと頭洗ったりするのはとにかく楽ですが(笑)

 

スキンケアはなにかされてますか?

40代後半あたりから男も徐々に干からびモードに突入してくるので肌が乾燥もするけど、比較的脂性なのでそういうケアとかは全然してないですね。

スキンヘッドあるあるで、『ここまでがおでこで、ここからが頭』ってあるんだけど、頭皮はスカッとさせたいからトニック系のサクセスシャンプーで洗って、顔は洗顔料で一応分けてます。

「分ける必要ないだろ、頭からつま先まで石鹸でいいだろっ!」ってよく言われるけどね(笑)

 

育毛とか治療しようとは思わなかったですか?

治療しようとは全然思わなかったです。

うまいこといけばいいけど、うまくいくのかなって不安な気持ちの方が大きかった。

だったら、自分でハゲスタイルを貫いて楽しもうって。

髪の毛ある人より似合う服のバリエーションが少ないけれど、時にはハットとかニット、ハンチングの帽子との組み合わせでファッションを楽しんでます。

老眼鏡のレンズをレイバンのクリアー色のフレームにはめ込んでみたり、アイウェアでも存分に個性出してお洒落を楽しめるし。

ファッションも『ハゲスタイル』ってそれなりにバリエーションあるからね。

 

スキンヘッドにしたときの心境は?

最初は周りの人たちからどういう風に見られるのかなって不安が少しあった。

今までやったことがないんだもん、そりゃ正直不安だよね。

もう髪型のバリエーションはないけれど、さっぱりすっきりしてこの頭をめっちゃ気に入ってます。

今となっては、「ちょっと残してるのは潔くなくてダサいからな」って周りに言ってる、自分もそんな時代あったくせに(笑)

スキンヘッドにして前向きになったっていう人もいるけど、やっぱり悩んでる人もいますよね。

俺はまったく悩んでないし、髪型の変えようがなくてこれしかないからどうしようもなくて逆にこの頭を楽しんでますね。

自分自身を一言で表現するなら『アホでエロでキチガイでチョイ紳士』なので。

真夏は直射日光で日焼けして、頭のてっぺんから皮むけちゃうので、帽子は必須だとは思います。

が、しかし俺は剥き出しでお天道様に焼かれるがままのスタイルを貫いてます。

そしてなによりも不思議なのが、スキンヘッドにはスキンヘッドがやたらと群がってくるんです。ハゲはハゲを引き寄せる法則、とでも言いましょうか(笑)

 

格好良いハゲになるには?

開き直るしかないんだと思う。ハゲは面白くなきゃダメだよね。

コンプレックスを感じる人はしょうがないんだけど、ハゲてる人はハゲに「ハゲ」って言っていいって思ってるんだけど、調子に乗って言ってたらブチ切れられたこともある。

気にしてる人がいるのは当然だからね。反省してます。

でも振り切ると本当に楽です。

自分はもともと楽観的な性格でもあるけれど、ハゲはユーモラスで明るくあるべき!

 

ー『ハゲはユーモラスであるべき』ということを地で行く底抜けの明るさ。この明るさに人々は集まってきて、さらに周りが明るくなっていくのだろうと思わされる人であった。

 

モデル:原敏 / 撮影:長谷川さや / インタビュー:高山 / 編集構成:土屋リサ

 

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