
狭い価値観に固執してはいけない。人の数だけ考え方は存在する。
ハゲを強みに変えた人たちの生き様を伝えるインタビューシリーズ。
今回お話を伺ったのは、保険代理業を営む福田敏朗さんだ。
福田さんは世界中の保険・金融サービス専門職のトップクラス5%のメンバーで構成されるMDRTのメンバー。さぞや、年間数多の契約数を獲得しているかと思いきや、その数は年間わずか10件のみ。
高単価のカスタマーに絞り、日々の多くを自身の好きなことに費やしている。
今回は、そんな福田さんのキャリア形成、ハゲとの向き合い方、大切にしている価値観を聞くことができた。
自分にとってのパーフェクトカスタマーは誰か?
福田さんのキャリアはシステムの営業から始まった。
「大学卒業後『たのめーる』で有名な大塚商会に入社して、そこで8年ほど図面を描くためのCADシステムの販売をしていました。
そんな折、30歳くらいのときソニー生命からヘッドハンティングされたんです。
大きななジョブチェンジでしたが、保険業界は売り上げがそのまま自分の給料にも直結するので、とても燃えましたね。楽しかったです」
現在は独立し、取引相手を少数の富裕層や企業だけに厳選している。その理由は、それまでのやり方に限界を覚えたからだった。
「『ソニー生命』時代はとにかく顧客を増やすことに注力していたんですよ。
どの業界でもそうですけど、売上は、単価と客数に比例しますよね。多いときは1300人くらいの顧客を抱えていたこともありました。
でもそうなると、例えばお客さんから電話が来たときに、それが誰だったか思い出せないんですよ。数が多すぎて。
これじゃまずいと思って、どうしたら売上はそのままに顧客数を減らせるかを考えたら、必然的に売り上げの単価を上げるしかなかった。
僕はよく理想の顧客『パーフェクトカスタマー』を見つけるという言い方をするんですけど、僕の場合はそれが年収の少ない個人ではなくて、富裕層や企業でした。
保険の持つ高いニーズという側面も相まって、現在では1年に10件の契約で保険業界のトップクラスの売上を誇るまでになりました。
僕のようにパーフェクトカスタマーを得られることは理想的ですが、誰にでも簡単にできるわけではありません。そのノウハウを教える『福田塾』というものを現在運営しています」
ハゲは単なる特徴。そこに良いも悪いもない。
現在は『ハゲ』を自身のキャラクターとして活かしている福田さんに髪型の変遷を聞いた。
「スキンヘッドにしたのは42歳くらいの頃だから、20年くらい前。
それまでは薄いながらもまだ髪があったから、床屋で整えてもらっていました。
でもそれがだんだん面倒くさいと感じるようになってしまって、バーコードみたいに隠すのは嫌だと思っていたから、だったら剃った方がいいなと思ったんです。
まずはバリカンで短く刈って、次第に剃るようになりました」
もともと髪型にあまり関心がなかった福田さんだが、『ハゲ』をどのように捉えているのだろうか。
「正直、『ハゲ』は、良い・悪いではなくて、背が高いとか低いとかと一緒で単なる個性だと思うんですよ。
あとは、それを見る人や本人がどう捉えるかだけ。
良いと思う人もいれば、なんとも思わない人もいるし、もしかしたらネガティブな印象を持つ人もいるかもしれない。
でもそれはハゲ以外にも、さまざまなことに言えることで、絶対的な見方なんてありません。
だから過度にネガティブになる必要は一切ないと思いますね」
何かを乗り越えたとき、そのドラマに人は感動する
とはいえ特に若い世代だと薄毛が気になることも事実。最後にそんな人たちに向けたメッセージをいただいた。
「やっぱり個性は全面に押し出した方がいいと思っています。
僕の場合は自己紹介で「ハゲは嘘つかない」という親しみやすいキャラクターとしてアピールしていますが、そんな人が実は専門的な知識やスキルを持っていると周りは大きく評価してくれることがあります。
これは親しみやすさと専門性とのギャップが生まれるからですね。ギャップがあると、人はそこにドラマを見ているようで共感したり、応援したくなるものなんです。
同じスキルを持っていても、何かを乗り越えてきたドラマ性のある人を人は応援したくなってしまう。
それは人生がたやすくないとみんな知っているから。
だからもし今、悩んでいるとしたら、それが強さに変わる日がきっと来ると思います。
そうなるために、僕は他人の力を借りることをおすすめします。
具体的には、他人の話をしっかりと聞いて、その人の価値観に触れること。
人間って盲点が沢山あるんですよ。
一人ではそれに気付けないから、他人に教えてもらわないといけない。
しっかりと相手の話を聞くこと。自分の価値観を押し付けることなく、相手の価値観を丁寧に聞き出すこと。
実はこれ、物を売るときにも効果的なんです。
人間は誰しも、自己重要感というものを満たしたい。
聞いてあげるという行為は、それを叶えることができるんですよ。
話は少しそれますが、これはモテる秘訣でもあります。僕は人の話をよく聞くようにしているので、女性からとてもモテます(笑)
脱線してしまいましたが、とにかく人の話をよく聞いて、多くの価値観に触れること。
自身が今置かれている状況は全て、自分の価値観によって選択してきた結果です。
価値観が広がれば選択肢ももちろん広がる。
自分の見ている世界がいかに狭いかを知ることでしか、自分の殻は破れないと思いますね」
世の中に絶対なんてものはない。
あるとすれば、ある一つの価値観という狭い範囲においてだけだ。
実は自分自身がそうであると固執しているだけなのではないか。
凝り固まった価値観を一度ほぐしてみる必要があるのかもしれない。
モデル:福田敏朗 有限会社ハッピーリッチ 代表取締役/ 撮影:長谷川さや / インタビュー:高山 / 編集構成:服部涼介