
頭を隠していた帽子を脱ぎ捨てたら、もっと自由に自分を表現できるようになった
ハゲが恥ずかしい、格好悪いと思ってしまう根底に『特異であるから』ということが挙げられるらしい。
他人とは異なる、特異であるということをさらけ出すにはとても勇気がいる。
今回取材させていただいた丸山貴史さんは、男性がハイヒールでウォーキングすることを世の中へ広めたいという考えの持ち主だ。
もともとはNOHAIRを隠すための帽子が手放せなかった丸山さんが、帽子を脱ぎ捨て、ハイヒールを履くという特異さを表現したいと思うようになったいきさつについてお話を伺った。
男性がハイヒールを履くのはアリだと思った
──ハイヒールは『女性が履くもの』というイメージが一般的だと思いますが、どういったことがきっかけで、ハイヒールを履いたウォーキングを始められたのでしょうか?
1年ぐらい前に、ヨーロッパの男性4人組のダンサーがハイヒールを履いて踊っている映像を観たことがきっかけでした。
「めっちゃかっこいい」と思ったんです。

僕自身もストリート系のダンスをしていて、彼らのダンスはジャズ系。
ジャンルは全然違ったんですが「男性もこういう表現ができるんだ」というのがすごく新鮮で、自分もやってみたいと思ったんです。
ハイヒールを履いてる男性が他にもいるのか気になって、インターネットで調べたら結構色々な写真が出てきて、ドラァグ・クイーン(※派手な化粧・女性装をした人のこと)みたいな奇抜な格好じゃなくて、スーツに合わせたりもしている写真もあって、これは普通にファッションとしてアリなんじゃないかと思いました。
こういうファッションを自分から発信したいと思ってハイヒールでのウォーキングを始めました。
『ジョジョ』みたいなファッションが好き
──今日のファッションは真っ赤なセーターがとても印象的ですね。
派手なものが好きなんです。漫画の『ジョジョ』シリーズみたいな原色同士の派手な色使いに惹かれますね。

──ダンスやハイヒールでのウォーキングや、原色のファッションがお好きと、なかなか普通の人にはない感性をお持ちだと思います。ご自身をアピールすることは昔からお得意なんですか?
言葉で表現するのが苦手なんです。でもおそらく何かを表現したいという気持ちはあるので、視覚的に表現することが好きですね。
人と話すのは苦手だけど、人前で踊るのは平気みたいです。
そもそも昔はこんなふうに初めて会った人と話すことが一切できなかったんですよ。
いくら視覚で表現したいとはいえ、昔の自分だったらこうやってハイヒールを履いてみようというマインドまでには至らなかったと思います。
妻からの助言がきっかけで、マインドが変化したんです。

「自分をさらけ出さなければ誰からも信用されないよ」と妻から言われて帽子を脱いだ
丸山さんのNOHAIR歴は、遡ること18年前。29歳のときだという。すでにおでこは広くなり始め、どんな髪型でも薄毛を隠すことは難しかったそうだ。
当時一緒に働いていた職場の先輩が坊主頭にしたのを目にし、「かっこいいな」と思い、風呂場でバリカンを使って頭を丸めたのだそう。
──マインドに変化を与えた、奥様の助言はどういったものだったんですか?
思い切って剃ったくせに、本当は坊主頭が嫌だったんです。だからつい最近まで、ずっと帽子を被っていました。
「丸さんといえばあの帽子の人だよね?」とトレードマークとして覚えてもらえるのはすごくありがたかったんですけど、どんな服装をしていても、頑なに必ず帽子を被っていました。
でも、あるとき妻から「帽子を取ったほうがいい」と言われたんです。
「自分をさらけ出さなければ、誰からも信用されないよ」って。
僕は今、人に人を紹介する、コミュニケーションの仕事をしています。
人から信用されることが何よりも重要なのに、帽子を被ってNOHAIRを隠していることがコミュニケーションの妨げになっていると言われたんです。

あまりにも核心をついていたので、それからすぐに帽子を被らずに外に出るようになりました。
それまでは、本心ではNOHAIRであることに抵抗があったんです。他人から見られるのが嫌だったし、恥ずかしいと思っていたんです。
でも、いざさらけ出したら、誰も気にしてなかったんです。
それがきっかけで『ハゲ会』というものを通じて、同じ頭の人たちと出会うことができました。
自分が恥ずかしいと思っていたのは、単なる思い込みにとらわれていたことに気付きました。
妻からのアドバイスがマインドチェンジのきっかけになったんです。

──実際に人間関係に変化はありましたか?
変わりましたね。自分がオープンになれたので、相手も心を開いてくれるようになりました。
それまでは帽子を被って目線を隠すようにしていたから「あの人、何考えているんだろう」と多少なりとも思われていたと思うんです。
でも、それが今はなくなりました。完全ではないかもしれないけど、変化は確実にあったと思います。
何よりも自分の気持ちが楽になりました。
今までは帽子を脱ぐことに抵抗があったんですが、今ではなんとも思わなくなりました。
オープン・マインドになったときに見えてくる世界がある
──NOHAIRに関わらず、誰しも自分の好きなファッションをするときに、多少なりとも他人からはどう思われるんだろうと気にするものだと思います。ハイヒールを履くことについて、勇気は必要でしたか?
まだちょっと勇気が必要ですね。実際に街中で歩いたのは今日が初めてでした。
今まではスタジオやマンションの廊下でウォーキングしているのを妻が撮影して、SNSにあげるという発信をしていました。
でも今日実際に歩いてみて、おかしなことじゃないなと感じています。
ハイヒールで綺麗に歩けると、姿勢も良くなって足腰が強くなるんです。
だから女性でお年を召した方でもハイヒールを長年履いている方は転ばないと聞きました。
背筋も伸びるし、腰も伸びるし、すごくいいんだよという話を聞いて、みんなもハイヒールを履いた方がいいんじゃないかと思ったんです。
見た目の美しさもあるし、健康にもいい。

だから僕が、ハイヒールを履いて歩くことが趣味で、それを広めたいという話をしていたところ、このNOHAIRSでの取材の話をいただいたんです。
自分が発信すると必要な情報が入ってくるというのを実感しています。
ドラァグ・クイーンのような女装ではなく、普通の男性がハイヒールを履くことは、まだまだ特別なことですよね。
でもそんな特別なことを発信できるようなったのは、妻の助言をきっかけに、自分をさらけだせるようになったことがきっかけです。
──丸山さんは、我々取材班を引き連れて、夜の銀座の街をピンと背筋を伸ばし、ハイヒールで闊歩していた。
冬の夜風を切って歩く、あまりの颯爽とした姿に我々は思わず見惚れてしまった。
※丸山貴史さんのFacebookアカウント、Instagramアカウントはこちらから。
モデル:丸山貴史 携帯代をタダにするスペシャリスト / 撮影:長谷川さや / インタビュー:高山 / 編集構成:東ゆか
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