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死にかけた頃から、映画出演まで。俳優来栖光之丞の壮絶な人生【後】

前編に引き続き、高校を中退してからの人生に迫る。



執念の就職


そして、高校を中退になってその後に大検取るんですよ。17歳で取るから18歳で卒業してる奴らよりも高校卒業資格を早いしもういいやと。

近場にあった仕事が職人さんくらいだったから職人の道に行きました。
給料はいいけど、喋るのが好きだから営業職とかやりたいなあと思いながら、ビル建築の大工さんをやっていたんですよ。


色々覚えて給料も上がるんですけど、22歳くらいの時に営業マンになろうと決めました。
不動産の営業になろうと決めて、面接に行ったんですけどことごとく落ちる。

僕は絶対にトップセールスマンになる自信があったんですけど受からないから、ハゲがいけないのかなあと。
当時眉毛も描いてなかったから向こうからしたら顔面凶器みたいなもんですよね。
「お前みたいなのが営業できるわけじゃないじゃん」と思ってるわけですよ。

4社くらい落ちて、悔しくて悔しくて、5社目に『2ヶ月間給料はいらない、タダでいいから雇ってください。御社の期待に応えられなかったらクビにしてください』って念書書いて、
実印押して自分の生い立ちを全部書いてその手紙と履歴書を持って面接に行きました。

その時に初めて2人同時に面接させられたんです。運命みたいで、もう1人は僕とは間逆の明らかに静かそうな営業向きじゃなさそうな人。

普通、その場で不採用ってあまり言われないじゃないですか。それがこの時、僕はその場で不採用になって、もう1人の方が採用。

手紙も出して給料いらないって言ってるのに、ですよ。どうしても納得できなくてその時不採用と言った面接官に「なんでですか?この方には失礼だけど僕絶対結果出しますよ。あなたがどう思ってるかわかりませんけど、僕この毛がないことをめちゃくちゃポジティブにしているんで僕絶対結果出しますよ。僕2ヶ月給料払わなくていいのになんで雇わないんですか?」って聞いたんです。

そしたらその方がこうはっきり言ってくれたんです。

「来栖さん、ごめんなさいね。日本の営業だと見た目の情報が9割なんですよ。ごめんなさいね、あなたの見た目だとちょっと難しいと思います」

それが20歳くらい。
悔しくて悔しくて悔しくて。その場では泣かなかったけどその会社を飛び出してめちゃくちゃに泣きました。
公衆電話からお袋に泣きながら電話して「母ちゃんごめん。落ちた。雇えないってはっきり言われた。俺は方法を変える。中の営業にする」

そこで不動産は一旦諦めて、アウトソーシング会社内見のアポ取りの営業に面接に行きました。そしたら即採用してくれたんです。

そこで採用してもらって1ヶ月目で新人でトップの成績を取って、新人王になるんです。
次の月は半月くらいで前の月の成績を超えて、その会社は300人くらいのところだったけどトップの人と張り合えるくらいのスピードで結果を出しました。

でもその時にそこでその会社を辞めちゃうんです。

 

彼女との関係

 


17歳から付き合っていた当時の彼女がメンタルバランス崩している人でした。

初めて僕を好きになってくれた人というか。ただ、出会った時からバランス崩している子だった。元々シンナー中毒だったのを止めさせました。

バランスを崩しているけど僕にとってはかけがえのない人だったから、プライベートでは彼女と一緒にいるっていう選択をしていたんです。
友達にも会ってほしくないと望むから、半監禁状態。まあ色んなことがありました。

社会人になりたてときは職人で男しかいない職場だったから大丈夫だったんだけど、営業マンになった時は女性がいる職場だったからそれが耐えられなかったようで・・・。

仕事が終わって会社を飛び出すと帰るコールをするんですけど、「今から帰るね」って電話をすると発狂しちゃうんです。

僕すごく明るい感じだし成績も挙げてるから新人歓迎会もみんなすごいウエルカムな雰囲気なんだけどそれも断わざるを得ない状態。
「すいません。実家がすごい貧乏なんで」って訳わからない理由で断って帰るんですけど、彼女は発狂していてそこから1~2時間言い合いになっちゃうんですよ。
「本当に仕事してきたの?!」ってずーっと怒鳴られると、おかしくなって僕も怒鳴ってしまう。

僕は女性には手を上げないけど、あっちは物を持ったり手を上げてくるタイプで防ぐだけでも結構大変で。それを夜中ずっとやられちゃうんですよ。
当時、仕事は埼玉から新宿に通っていたので、朝の6時くらいに起きての毎日4時間睡眠の生活が続いていました。それでも、仕事の成績はしっかり上げていました。

だけど彼女は段々、朝になると「今日会社休んで。私と仕事どっちが大事なの!」と言うようになってきちゃってた。
彼女は仕事をしてなくて、「いやいや、お前も大事だし仕事も大事だけど、お前を食わすために仕事してるんじゃん。お前のために仕事してるんだよ、わかってくれ」ってなだめても、もう興奮状態でわからないんですよ。

「そんなのどうでもいい。私が大事なら会社行かないで」と一点張りでした。

そんな問答の毎日が続いて、入社して1ヶ月過ぎた頃から会社を欠勤するようになってしまった。俺、どう考えても無断欠勤するようなタイプじゃないから、「どうしたどうした?!」って会社の人たちはなっちゃうんですよ。熱が出ても会社に行くのに「熱が・・・」とか言って。

でも上司がすごく漢気のある方で、何か事情があるなって察した上で「そうかわかった、明日は来るのか?」って聞いてくれて、それに対して僕は「明日は今日の分も結果出します」って答えたんです。

だけど彼女は「辞めて!辞めないと死ぬ!今、学校の屋上にいる!今から飛ぶ!」っていう状態。僕ももう限界でしたね。

「辞めてくれないと死ぬから」が彼女の口癖のようになってきて、もうだめだと仕事を辞めることにしたんです。

すごく嫌だったんですけど、単身赴任の親父が危篤ということにしてその上司に電話しました。「そりゃ大変だな!行ってこい!会社来てる場合じゃないからとにかく落ち着いたら電話してくれ!」って言ってくれて。

その上司も僕が言ってることが嘘ってわかってるんですよね。それでも「約束してくれ。絶対戻ってくるって。お前が戻ってくるまでに絶対俺たちの事業部を会社で1番にする。その時はお前が会社で個人で1番を獲れ」って僕に言ってくれるんです。僕はとにかく苦し紛れで、「わかりました。約束します」と伝えました。

そうして会社を辞めて、また職人に戻りました。

心の中は空っぽで、彼女はもうだんだん壊れてきちゃって。
泥だらけで帰るんだけど「本当に仕事行ったの!?」と言って掴みかかってくるようにもなって。

そこから8ヶ月くらいしてお互いもうおかしくなってきちゃった時に、彼女と一回離れたくなって合宿で車の免許を取りに行きました。

友だちと飲みに行くのも一切禁止、僕が離れると死ぬってなるから、俺も限界で1ヶ月間山形に行くことがその時の僕にはすごく必要だった。

行かないでって発狂されたんですけど、なだめて出て行ったら、初めの1週間過ぎたら彼女から連絡ぱったりとなくなりました。

僕にとっては連絡がなくなったことがすごく良くて、普通の人たちと触れ合って、もうこれは別れなきゃなと思いながらすごく落ち着いてきたんです。

それで合宿から帰ってきたら彼女が「もう変なことも言わない」と言って、ものすごくげっそりしてました。

そのタイミングで上司から連絡があったんです。

「事業部が1番になった。その祝勝会があるんだけど、お前は休職ということにしているからうちの会社に遊びに来てくれないか」

僕がいない8ヶ月間、僕のことを事業部の人たちに話してくれていたみたいで、僕が行ったら「噂は聞いてました!会いたかった!」と、そこにいた人みんなが歓迎してくれました。

すごく感動して、その時に僕はこの会社に戻ろうと決めました。

彼女のことは心配だったんですけど、僕のことをこんなに求めてくれている人がいて、この気持ちに応えたいって思いの方が強かった。
帰って彼女にその話をしたら、嫌がるけどそこまで言うならと許してくれました。

それで会社に復帰しました。
相変わらず飲み会は断っていたんですけど、仕事でどうしても帰れない日ができて、その時上司がビジネスホテルをとってくれたんですね。上司が契約取ったそのお祝いもあって、そこで初めて上司と飲みに行くことになったんです。

そこで彼女に今日帰れないって電話しようとしたら隣に上司がいたので俺代わるよとも言ってくれて、「上司と一緒に泊まるし、安心して」って伝えたら、「ふざけんな!今から車で迎えに行く!」って発狂しちゃって。

上司に悪いからわかってくれよって言ってもわかってくれなくて、初めて彼女の電話を途中で切って、携帯の電源も落としました。
電話が鳴ることもなくお酒を飲んでたくさん人と話すこの時間がすごく楽しくて、これからも俺たちで大きくしていこう!と話しました。

ホテルに泊まって、朝出勤する前に携帯の電源入れたら彼女から留守電が入っていました。ずっと泣きながら電話越しで「ごめんね。ごめんね」って。

その日は早く帰らなきゃと急いで帰ったら、彼女なにもなかったかのように料理作ってたんですけど一晩中泣いたのがわかるくらい目が真っ赤になってました。

「昨日悪かったな、なにもなかったし大丈夫だよ」って言ったら、「いいの、いいの」って振舞ってたけど、部屋に入ったら畳が血で真っ赤になっていたんですね。よく見たら彼女の腕が包帯ぐるぐる巻き。

鏡の前に彼女を連れてきて2人で立って、
「お前の姿見てくれ。幸せだって言ってくれるけど、鏡に映ってるお前、幸せに見えるかな。お前を幸せにしたかったけど俺にはできてない。俺は悲しいけどお前を不幸にしかしていない。別れよう」
って彼女に言ったんです。

今までも朝まで別れる別れないのやり取りは何回もやっていたけど、今回ばかりは、
「お前の命の責任は取れない。本当ごめん。俺はお前の役には立っていない。別れよう」と何回も伝えて、それで夜中もずっと言い合ったんですけど、深夜3時くらいに突然彼女の携帯が鳴って、さっきまでのはなに?!ってくらい普通のテンションで電話に出たんです。明らかに電話口が男の人なんですよ。

「わかった、今から行くね」って言って電話を切って、散々別れないって泣き喚いてた彼女が「わかった、出てく」って言って荷物も持たずに出て行っちゃったんです。

「なんだよそれ!どういうこと!?」ってキレて狂って本当にそれで僕自身壊れちゃって。そのあたりのことあまり覚えていないんです。

気がつくと夜中に起きて彼女が好きだったGLAYのHoweverのオルゴールかけてアルバムを開きながら、涙がとめどなく流れていました。泣いているというより涙が出てくるという感じ。

それから2週間くらいして彼女から電話が入りました。

「結婚決まったから。今までありがとね」って。

その後いろんな友だちと会うようになってみんなから「実は・・・」って彼女のいろんな話を聞かされました。
彼女はいろんな方とお付き合いしてたんです。僕と同棲していた部屋で他の男性と会ってもいた。
だから俺も同じことしてるんじゃないかとみんな疑ってたんですね。

そんなことがあったから、それから女の人が本当に信じられなくなっちゃって、本当に嫌だなと思うようになりました。
仕事も順調にしてるから、女性と話す機会ももちろんありますし、女性から話されると明るく返すんですけど、僕からは怖くて話せなくなりましたね。

でもそのタイミングで今の奥さんと出会うんです。

序章はそんな人生ですね。


なぜそこまで明るいのか?


本当の本当に『諦めたから』ですかね。
本当の本当に人も天も憎みました。振り子の法則なんでしょうね。

中途半端じゃなくすっごい逆を行きましたね、1ミリも余地もないくらい。

シャレにならないくらい人を恨んで憎んだりしたんです。
その反動だと思います。
人もたくさん傷つけた。いろんな体験の中でそうなっていきました。

20歳までの自分は全く好きじゃない、全然幸せじゃなかったし。全部捨ててもいいくらい。

それ以降も大変なこと、いっぱいあったんですけど、すんごい幸せです。
会社が倒産して借金まみれになったり。人からはよく生きてるねって言われるくらいいろんなことがありました。

でも僕は幸せなんですよ。
僕は幸せをキャッチするアンテナを見つけちゃったんで。
嵐で『家』が飛ばされても幸せを入れこむ方法を知ってるんですよ。
だから大丈夫。



僕はこの幸せでいるコツを、おこがましいけど1人でも多くの人にできる範囲で伝えていきたい。
きっとみんながそれをできたら、その人は今のまんまでいいんです。環境も何も変えなくていいから気持ちが幸せになれる。それを届けられたらと思っています。

笑顔と明るさと笑いと愛と。そういうのがヒントかな。
いつもすげえばかばかしくてふざけたことを考えてます。

笑うことが大好きで、普段はふざけてるしょうもないハゲが僕なんです。



—会社の倒産、映画”クローズZERO”に出演、とまたさらに多彩な人生を歩んでいる。
彼は今後も俳優を続けていきながら、音楽の力でいろんな人の『幸せのお手伝い』をしたいという。

「決して気づかれずに、その人がその人自身の力で幸せになってほしい。そして音楽の力とコラボレーションして、それを世界に発信していきたい。

僕は人を幸せにしたいんじゃなくて、幸せになるためのお手伝いがしたい。決して気づかれないようにね。
毛のない妖精ですね(笑)」




そう語る来栖さんはどこまでも興味深い。
人を惹きつける魅力のある来栖さんの愛は傷ついたことを乗り越えたからこそ生み出されたものだった。

 


モデル: 来栖光之丞 俳優/ カメラマン:和嶋れみ / インタビュアー:高山

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