
年の差夫婦から学ぶ「自分らしくいられる方法」
コロナウイルスが世界に蔓延して以降、生活様式や働き方は大きく変化した。
それに伴い『コロナ離婚』を筆頭に、これまで共に過ごしてきたパートナーとのあり方や、パートナーに対して求めるものの意識や価値観も変わりつつある。
様々なカップルのあり方がある中で、今回は、年の差42歳というご夫婦にお話を伺った。
年齢差があり、価値観も異なる二人が、生活を共に営んでいく中で手にした『自分らしくいられる方法』とはなんだったのだろうか?
そして、『薄毛』というコンプレックスを乗り越えるきっかけになった奥様の言葉とは?
目次
二人の出会いはバーベキュー

——まず自己紹介からお願いします。
寛さん 吉川寛、昭和24年生まれの71歳です。
結衣さん 妻のゆいです。2月で30歳になります。よろしくお願いいたします。
——お二人の馴れ初めをお伺いしてもよろしいですか?
寛さん もしかしたら他でも面識があったのかもしれませんが、初めて話したのは僕がよく行っていたスナックのママさんの主催で、お客さんを集めたバーベキューに参加したときでした。彼女が僕の隣に座っていたのがきっかけです。そのときに、彼女が焼酎を隣で作ってくれたり、お肉を取ってくれたりと、お世話をしてくれて。僕からLINEを聞いたらOKしてくれました。そこからの付き合いになりますね。
結衣さん 私自身は、母親と母親の再婚相手と暮らしていたんですが、母親がいわゆる『毒親』で。どうしても家に居づらくなったときに頼っていたのが旦那でした。すごく居心地がよくて、「このままいるなら結婚しようか」という感じで結婚しました。
——すごくナチュラルな流れですね。
結衣さん そうですね。
——でも結婚される際、年齢差は気になりませんでしたか?
寛さん 最初はやはり気にしましたね。彼女の家にご挨拶に行ったときも、お父さんが僕より年下でしたし。どのような反応が返ってくるか不安だったんですけれど、非常にあっさりと「よろしくお願いします」と快く受け入れてくださって。「あ、こちらこそ」っていう話で、スムーズに運びましたね。
——お二人とも初婚だったんでしょうか?
寛さん いえ、僕は2度目です。前妻と死別していて、そこから15年は独身でした。彼女の方は初婚で、今年で結婚して5年目になります。
——今回NOHAIRSのインタビューを引き受けてくださったのは何故でしょうか?
結衣さん 幼なじみから「こんなんやってるで!薄毛モデルやって!旦那さんいけるんとちゃうん?」みたいな感じで連絡が来て(NOHAIRSのサイトを)見てみたら、モデルも募集していたので「ちょっと連絡してみるー」という感じでご連絡してみました。
——本当に格好良いです!
結衣さん そうなんですよ。旦那がすごくスタイルもよくて、カメラマンをしている友人に撮ってもらった写真でも、本当にモデルさんみたいに格好良くて。おそらくメディアに登場している方の年齢層は、現役というか働いていらっしゃる方が多いので、場違いかなとも思ったのですが、応募してみました。
——旦那さんにお聞きしたいんですが、格好良さの秘訣ってなんですか?
寛さん 自分が格好良いとは思っていないんですが、僕は空港で働いた後、会社から出向になって専門学校にしばらく勤めていたので、そこで17年間若い人たちに囲まれていたという部分が大きく違うかなと思います。
年の差婚だからこそ見つけた「自分達らしさ」

——年の差婚というと大変なこともあったり、周りからの目というのをを気にしてしまう部分もあるかと思うんですが、それでも自分たちらしく居られる秘訣はありますか?
結衣さん 周りの目を気にしないことでしょうか。
寛さん そうだね。全く周りの目を気にしてません。僕達には3歳と4ヶ月になる子どもがいるんですが、一緒にいると「おじいちゃん」というふうに周りから見られることもあって、初対面の人には「可愛いお孫さんですね」と言われることも多いです。「いやいや子供です」と答えると、「すみません」と謝られます。普通はそう見えますよね。でも気にしてないです。100%気にしていないといえば嘘になるかもしれませんが、自分の中では気にしないようにしています。
ただ、上の子から「パパ」とか「お父さん」と呼ばれるのは少し恥ずかしくって、「ゆうちゃん」と呼ばせています。気になるのはそのくらいです。
——結婚して、良かったなと思うことは何でしょうか?
結衣さん 年齢的に彼の方がだいぶ年上なので、いろんな経験ある分、話を聞いてもらって参考になることが多いです。どうしても若いうちは経験も浅くて、視野も狭いまま、突っ走ってしまうことが多い中で、年上の人の意見を聞いて冷静になれるので、そういうところが良かったなと思います。
——結婚生活を送る上で、努力していることはありますか?
結衣さん 結婚したての頃は、自分の意見だけぶつけて暴走していましたけれど、最近は、なるべく相手の意見を聞いて、冷静に考え、衝突せずに話し合うことが増えてきたかなと思います。
寛さん 僕も同意見です。僕も昔の人間なので、自分の考えを押し通すというか、昔の男の人は亭主関白というか、ソファーに座ったらそこから動くことはないという人が多くて、自分もかつてはそうだったんですが、最近は家庭のことも分担してお互いに手伝うよう努力するようになりました。特に僕と同じような世代の方ってそれが難しいと思うんですが、一生懸命努力しています。でも最近はそれが楽しくなってきたというか、自分の価値観も変わってきたなと思います。
結衣さん 昨日も話してたんですけど、亡くなった奥さんが見たら、びっくりするだろうねというくらいに正反対に変わったんじゃないかなと思います。
——年齢差が大きい分、学びあえることも大きいんですね。
結衣さん そうかもしれないですね。
彼女の一言でコンプレックスをさらけ出せた

——NOHAIRSを見ている方たちの中にはコンプレックスを持っている方も多く、20代で薄毛に悩んでいる方もいらっしゃいます。中には自分らしく生きたいけれど、周りの目を気にしてしまう人たちも多いんです。、そういう人たちに向けて何かメッセージはありますか?
寛さん 僕自身、妻と結婚する前は、いわゆるバーコード型の髪型になっていました。彼女がもうそれならと、バリカンで剃ってくれて、それ以来ずっと今の髪型にしています。
必死になってコンプレックスを隠すよりは、それで良かったと今は思っています。若い人の中にも、同じく薄毛で悩んでいる方は多いと思いますが、思い切って『隠す』のではなく、それを全面的に『出す』方がかえって似合って、自信が持てるようになるんじゃないかと思います。
——バーコードヘアーだったということが意外です。
結衣さん 頭頂部が薄くて、サイドは多い状態でした。多い部分を長くして誤魔化していたんですが、それはかえって目立つから、だったら「私がやってあげるから剃ろう」となりました。それまでは、お金を払って散髪屋に行っていましたが、結局変わらなかったですし。頭の形がすごく綺麗なので、スキンヘッドに近い髪型の方が似合うんじゃないかなと思いました。
あと実は服装もダサかったんです。着る服は今は私が選んであげています。
——薄毛自体は気にされていたんですか?
寛さん やっぱり気にはなっていましたね。男性で髪の毛の薄い人はやっぱり全員気になると思います。でも気にしているからといって、隠したりしない方が、かえって見た目もスッキリとしてとして、自信が出てくるのではないでしょうか。
——お話を聞いていると、薄毛のコンプレックを奥さんや彼女さんにも隠す人がいる中で、比較的オープンに話されている印象受けます。
結衣さん多くの人が薄毛のことで悩んでいる姿を見て、違和感を覚えていてもそれを言わないと思うんですが、私にとってそれは悩んでいる本人のためにならない気がしていて。もちろん状況にもよりますが、私たちの場合はそう思ったので、話すようにしています。
堂々と後悔なく生きる
——最後にNOHAIRSを見ている人たちに向けてメッセージはありますか?
結衣さん 堂々と生きた方が、より楽しくなるんじゃないかなということですかね。
寛さん 中には薄毛の人が苦手という方もいると思いますが、毛嫌いしている人ばかりではないと思います。なので、堂々としていた方が、自分自身のためにも良いんじゃないかなと考えています。
——では年の差カップルに対して何かメッセージありますか?
結衣さん 相手のことが好きであればあまり深く考える必要はないんじゃないかと思います。若い人同士のカップルでも、何があるかわからないじゃないですか。私達の場合は、旦那の方が先に逝ってしまうだろうという感覚ですが、若い人同士のカップルでも、事故に遭ったり、病気したりということはあると思うので、後悔しないように楽しく一緒にいられることが大切なのではないでしょうか。
周りからの視線や自分のコンプレックスに対して、『気にしないこと』『堂々とすること』は一見シンプルではあるが、一番難しいことだ。
ただ、あっからかんと今の自分を曝け出すことが、何より自分のためになると、2人の姿を見て改めて感じた。
記事:Akko(あっこ)