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スキンヘッドを自然に描いたら、漫画の個性になった

ハゲを強みに変えた人たちの生き様を伝えるインタビューシリーズ。

イラストレーターのエイイチさんは、『スキンヘッドパパの育児日記』(日経BP)や、『パパズ・スタイル』(東京都生活文化局)でスキンヘッドのパパの子育てエッセイ漫画を描いている。シンプルで優しい線に心が温かくなる作品だ。

「漫画の中でハゲを自虐するのをやめて自然に描いたら、それが作品の個性になったんです」と語るエイイチさんに、メリットしかなかったスキンヘッドにしてからのお話を伺った。

ハゲを強調せず、自然に描いたら連載が決まった

——『スキンヘッドパパの育児日記』は何がきっかけで生まれたんですか?

始まりは僕が個人的に描いていた育児エッセイ漫画でした。

僕自身が主人公であるパパだったので、もちろん主人公の髪型はスキンヘッドです。

それを読んだ日経DUALさんから育児漫画の連載をしてほしいと声が掛かったんです。

連載にあたって、パパはスキンヘッドではなく、髪の毛が生えているキャラクターに変更しようと考えていました。

でも、いざ描き始めたら、髪を生やした途端に面白みがなくなってしまったんです。

それまでスキンヘッドであることやハゲを作中でネタにしたことはなかったのに、この差は一体なんだろうと考えたときに、『パパがスキンヘッド』というキャラクター性がプラスになっていたことに気付いたんです。

だからパパはスキンヘッドのままで連載することにしました。

日経DUALの担当の方も賛同してくださって『スキンヘッドパパの育児日記』が誕生しました。

——以前からスキンヘッドのキャラクターの漫画を描かれていたんですね。

育児エッセイの前には、他のイラストやアニメーションの仕事の傍ら、絵の練習として1日1枚、ブログでイラストを公開していました。

そのときはハゲの自虐ネタを描いていて、ある程度固定ファンが付いたんです。

でもそれがビジネスになることはなくて、スキンヘッドを描きつつも、ハゲをネタにしない育児漫画にシフトチェンジしたらそれが仕事になったんです。

自虐をしたり、強調したりすることをやめて、自然に描いたことが僕の漫画のプラスになりました。

——とても興味深いお話です。NOHAIRSもスキンヘッドや坊主を髪型の一つの選択肢として提案していきたいと思っています。それは個性ではあるけれど、特殊なことではないですよね。

仕事を失うより、中途半端な頭が嫌だった

——いつからスキンヘッドですか?

17年前の25歳の頃からです。

20代から薄くなってきて、中途半端にハゲていたり生えていたりするのが嫌だったので、本当はすぐにでも剃りたかったんですが、当時はまだスキンヘッドだとできない仕事が多かったんです。

僕はその頃、結婚式会場でウェルカムボードの似顔絵を描く仕事もしていました。

式場によってはスキンヘッドにスーツだと会場の雰囲気に合わないと言われてしまって、仕事を失うか髪を剃るか悩んだ末に、やっぱり中途半端が嫌だったので剃ってしまいました。

——お仕事は続けることができましたか?

いくつかの会場では出店できないと言われてしまいました。

僕はお客さんの前で絵を描くのが好きだったので、わかっていたとはいえショックでしたね。

今ではスキンヘッドの医者や弁護士がテレビに出ていますが、当時はそんな時代でした。

——そうまでして剃りたかった理由は何だったのでしょうか?

周りにいた中途半端な髪型の人たちが、僕にとってあまり格好良く見えなかったのかな。

育毛剤は不思議と選択肢にありませんでした。

スキンヘッドパパは子どもたちの人気者

——仕事を失ってしまったデメリットはありましたが、ポジティブな反応はありましたか?

すぐに顔を覚えてもらえるというメリットがありました。

僕にとってスキンヘッドにして損をしたという感覚はないんですよ。

息子の保育園のお迎えに行ったときも、子どもたちの人気者になりました。

「どうして髪の毛がないの?」と聞かれて「髪の毛は今、北海道にいるんだよ」「え〜!うそだ〜」なんてやり取りがありました。

帽子を被っていったら「取って」と言われたので「もうちょっと仲良くなったら取ってあげる」と返して、子どもたちとのコミュニケーションにつながりました。

でも最近、息子が小学校に上がって、自分のお父さんの頭が他のお父さんと違うことに気が付いたんですね。

「お父さんも髪の毛を生やしてほしい」と言われたことがありました。

「もう生えないんだよ」と答えたら子どもなり「お父さんの髪の毛はもういなくなっちゃった」ということに気付いてくれて、それ以降は何も言わなくなりました。

そういった意味でも子どもも成長したのかなと思っています。

スキンヘッドパパの憧れの父親像

——微笑ましいエピソードですね。父親として、一人の大人として、憧れる人物像はありますか?

僕は父親から愛情を受けた記憶がほとんどなくて、厳しかった思い出しかなかったんです。

それでも父との関係性についてふと気付いたことがありました。

僕はスポーツはできないんですが、キャッチボールはできるんです。

どうしてだろうと考えたときに、それは父親から教わったからなんですね。

他にも、どうしてお風呂で息子とする遊びを知っているんだろう?と考えたら、それも昔、父親と一緒にお風呂で遊んだからだったんです。

息子さんのシャンプーの感触に、懐かしさを感じることも

子育てをしながら「俺って父親にけっこう愛されていたんだな」と気が付いたんです。

だから自分の息子が大きくなったときに「あいつがしていたことは愛があったんだな」と思い出してもらえるような親父になれたらいいなと思っています。

そうやって、うっすら思い出してもらえるような父親になりたいですね。

スキンヘッドは自虐ではなく個性

——最後に、今スキンヘッドや坊主にしようか悩んでいる方へメッセージをお願いします。

僕はスキンヘッドにして得したことしかありませんでした。

剃ってしまって失敗したと思っても、いかなるときでも次の手はあると思います。

今は周りにバレないようなカツラもあることだし、とりあえず迷っているなら剃ってみてください。

そしてそれを武器にしてもらえたらいいと思います。

僕の漫画も、もしかしたら面白い育児漫画には真正面からは太刀打ちできないかもしれません。

でもお父さんがスキンヘッドだから、絵的な個性になっているんです。

スキンヘッドは自虐やネタではなくて、個性になりますよ。

 

誰もが自分を特別であるかのように見せたくて、背伸びをしたり、個性的に見せたりしようと思いがちだ。

しかし自然体でいることが、その人の魅力を発揮する一番の方法なのかもしれない。

モデル:エイイチ イラストレーター / 撮影:長谷川さや / インタビュー:高山 / 編集構成:東ゆか

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