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整体師として心と身体の相談に乗って人の悩みを客観的に見てきた男が言う、「ハゲてなんぼでしょ」

スタイリストの女性の知り合いに「かっこいいのよ!」と一押ししていただいた、山田信介さん。
ただ、今までのNOHAIRSと違うのは髪の量だろう。

スキンヘッドレベルのNOHAIRに慣れた私たちにとっては一瞬、「ハゲですか?」と問いたくなるようなその頭。

だが、心配ない。
彼も歴としたNOHAIRSである。

興味深いのは、『髪がなくなる経過を楽しんでいる』というところ。その真相について伺った。

ー仕事はどんなことをされていますか?


整体師として30年近く人の体と心を看ています。

だから色んなことに気付いているのかもしれないですね。色んな人が気にしていることをずーっと聞いてきたから。

その人のコンプレックスだったり、ダークなところだったり、逆に言えばその人らしさがこんなにあるのに違うところで戦っている人結構いるんです。

整体師としてコリをとるとか治すって結構普通で。

この人がこの人らしくいくように修正していくのが僕の仕事なんです。
その人らしさでいられるのが一番だと思ってます。

 

ー今日のファッションのこだわりはどこですか?



柄シャツは今まであまり着てこなかったんですが、今日の服は自分そのもの。



服に関しては今まで結構悩んでいたんですよ。

普通を求めていないから買い物に行ってもピンと来ないとダメで。まあいっかと妥協しちゃうと着なくなる。

若い頃の選び方は流行りと、自分のスタイルに合うかどうかだったと今だと思うんだけど、実はそれもちょっとわからなくて、なんとなくフィーリングでコーディネートしてたのかなぁ。

普通の人と同じのは嫌だという感覚があって、むしろ流行りは気にしない方がいいなと今は思っているので、ずっと仕事も中でやっていてユニフォームがあるから外に出る時くらい開放感が欲しいとかね。
だから服にはすごい意識はあったんだけど、これだというものに出会わなかった。

知り合いのスタイリストさんにコーディネートしてくれない?って頼んで、せっかくだからと銀座に行って色々見て回ったらハマってこの服に行き着きましたね。

試着してみてすごい落ち着いたんですよ。「来たな」という感じ。
別にビジネスっぽいの着なくていいんじゃないですか?ってスタイリストさんに言われたんですよ。
確かに自分のスタイルでいいんじゃないかなって思って、このスタイルに決まりました。

洋服は着られるものではなくて融合するものなんだなと。

シャツ  COMME des GARÇONS
ネクタイ COMME des GARÇONS
パンツ  DIESEL
靴    DANNER

今日のこのコーディネートは、コムデギャルソンの販売員のおじいちゃんがかっこよすぎて、彼の着ていたコートを思わず買っちゃいました。

銀座を回っていく中で、買ったものをもう着て同じ店に戻ったりしたので服装の変化がすごかったからか、店員さんに「今日銀座で1番振り切っちゃった人ですね」って言われましたね。
最初に行ったDIESELに戻った時なんか、何度見?!ってくらい見られましたね(笑)

その時に店員さんがどんどんアイディアを出してくれて、ネクタイは揃えるより左右に分けた方がいいですよって教えてくれたんです。

色々なところを回ったら感覚が変わって、おしゃれをするっていうよりは『自分探しをしに行く』みたいな感じ。洋服はその時の相棒だと思ってます。

意味を込めるのであればこの年代の人は髪が薄くなったら新しい自分に生まれ変わってほしいですね。
絶対に味が出るのは僕らの年代からだから。

ハゲも同じじゃないですか。
なんなら若ハゲは味が早めに出てる。だから私にはプラスにしか思えないんですよね。

上を見上げると禿げるを掛け合わせて『見ハゲて』いこうって言いたいですね。


—そこまでポジティブなのはなぜですか?


ハゲてなんぼでしょ。
味が出てくるのはそっからなんですよ。

自分を見てない、本当の自分を知らない人ほど、外見ばっかりになる。外見を気にしている人って、それに気付いてない。

そうなっちゃうと結局自分らしさを損ねて被せていくので逆にダサくなる。変にいやらしくなったり、気持ち悪さが出ちゃったりね。

例えばここで水がジャバーっと降ってきて頭に水を被ったら「ハゲやん!」って周りにバレるよね。でもこれは意外と絵になったり面白さが出たりするじゃん。

ハゲじゃなくても本当の自分を知らないことに気付いていない人って多いんですよ。

僕の患者さんは9割以上が女性なんですけど、女性は結構プロセスを気にしている割に外見のことをとやかく言うんですよね。
でも外見を気にするとプロセスが雑になるから、結果ダメ。
欲しいバッグと一緒ですよ。自分らしさは度外視して、本当に自分に合うかというよりちょっと違うものを選んだりね。

それとハゲってちょっと似てる。
見てくれがいいからヅラしちゃったって、いやいやいや!見てねえぞ。ヅラしてもだーれもお前の魅力には気付いてないからなって。髪が薄くなってもきちんとお洒落してた方が洒落てない?

視点を変えたらいい。
僕はこれが味だと思ってる。

あまりにも堂々としすぎて薄いのがわからないし、目がいかないって言われますね。
患者さんにも結構薄いよって話をしても、眼力の方が強いから上に視線がいかないらしいです。

ハゲの人も同じで、そこに気づかなきゃいけない。

被るなら帽子にしとけよって。カバーしてるより、感覚を解放させないとダメ。絶対おでこは開いてた方がいいです。
その方が味の出方が違う。

男性ホルモンが強くてハゲてるのに、女性らしい行動をしている。私強いですよっていう象徴なのに逆をいこうとするから運気も下がる。
せっかく見ハゲてるのに。



周りに気を遣わせるより、味を出した方が羨ましいってなりますよ。
なんならハゲたくなる、みたいなね。

 

—どのようにヘアスタイルを維持していますか?

 

今の感覚で言うと3週間に1回美容室に行っています。

僕は横の毛が強い。横に羽が生えるんですよ。飛べるんじゃないかって言うくらい(笑)
でもトップの毛は強くない。だから横が生えてくるとなんかバランスが悪くなる。

薄くなってきた時は自分で気付いたので美容師に、「禿げてきたんだけど、どんな感じにしていけばいい?わかってるでしょ?」って聞いたら「ああ、そうすか。じゃあ横が強いんで横を倍梳きましょう」って提案してくれました。
上はすでに梳かれてるから梳く必要ないので上を残してねって(笑)そうするといい感じにまとまるんですね。

かっぱはかっぱで味があるからね。
後ろから禿げて来る人はザビエルと同じでしょ?

天使の輪ですよね。
召されましたね。だから優しくできるはず。自分から「ザビエルです」って言えばいい。そうすればみんなからきっとありがたがられる(笑)

NOHAIRSとしては見出しなみとかモットーを作りたいですよね。

一、こな吹き禁止〜
みたいなね。


—スキンヘッドにしようとは思わなかったんですか?



昔は禿げたらスキンヘッドにしようと思っていたんです。だけど、意外とこのままでも味がある。

スキンヘッドにしちゃうと今度そっからどういきます?それ以上はあまり楽しめなくなっちゃうでしょ。

だってどうせ全部行っちゃうんだから早めに行っちゃダメじゃん。今、この時の状況って今しかないんですよ。
5年後はまた違う風合いでしょうね。

AGAとか言ってる場合じゃない。もうちょっとハゲていくプロセスを楽しんで、ファッションでもアイテムでも楽しむ。

『今を楽しめ。ハゲを楽しめ。ハゲ具合を楽しめ』
って思ってます。

 

—自分を貫く秘訣はありますか?

 

僕は変わっているから、小学校の時とかすごく大変だったんですよ。
先生にも目をつけられていたし、学校に行けない時もあった。

ものすごく大変だった。それは普通じゃないからという理由で。今よりも特に、みんなと一緒のことをしなきゃいけない時代だったから難しかったんです。

だから自分を封じ込めていましたね。小さい時は辛いことしかなかった。
合ってるか間違っているかで言ったら、僕は全部間違っている。思っていることは全部悪いことになる。

そんな中、高校の時に体操競技に出会ったんです。体操の中では僕は自由でした。そこに自由があったから没頭していました。

でも、すごく真面目な高校だったから職員室に連れて行かれて謹慎を言われる。
僕にもいいことと悪いことの区別はついてる、ついてるんですけどしたいんだもんしょうがないじゃん。

押さえつけられていると、自分でも押さえつけているから出てきちゃうんですよね。

だからひどい時は友達の家で2連泊くらいして麻雀して、体操はやりたかったからそのためだけに学校に行った。

大学で麻雀はやめました。
当時は僕には向いてないけどタバコも吸ってました。
自分を抑制しているから、自分をいじめることで保ってたんでしょうね。

大学で1人暮らしをするようになってからもずっと体操していた。
僕にとって体操は『自由』だったからそのおかげで、人は絶対違うっていうのを貫いてきました。
絶対違うんだから比べなくていい。
いいと思ったら貫くのが大事だと思います。



オンリーワン。
禿げ方もオンリーワン。
頭の形がまず違うから、同じハゲの人はいないです。

その人が開花すると発達する場所が変わって頭の形が変わるんですよ。そうするとその人も変わる。

そのためには頭は使わない。心を使う。
「これをやると周りからどういう風に見えるかな」とかじゃなくて「あ、これだ」と心の赴くままに決めること。

何かを決める時には揺らがないものを選ぶ。
揺らぐものは頭が考えているから。もし揺らいだら捨てる。

だけど、本当は心に来ているのにどうしようかな、周りの人が気になるなって思った迷いは置いといて、胸に手を当てて心に聞いてみる。本当に自分を引き出すことをした方が絶対いい。

ハゲもそう、個性だから。

体を通してとか、心を通してとか、ハゲというものを俯瞰して見てみて、それを自分に寄せていけばいいんですよ。

でもみんな向け入れ難い自分は遠ざけようとする。
なぜ自分を遠ざけたいかというと自分をよく知らないからですよね。
なぜ一歩踏み出さないかというと、うまくいくかいかないか、合ってるか間違ってるか、いいか悪いか、人が見て正解か不正解か、そういうことばっかり考えるから、『自分』が消えちゃってる。

自分がいいと思ったらいい。
そこへ踏み込めるかどうかですね。

ーかっこいいハゲになるには?

 

まず、1回、隠さず表に出そう。出してから考える。



最初のレクチャーとしては、1回出して俯瞰して見る。自撮りでもしてみればいいですよ。
それと同時に自分を見つめること。やっぱり上を向いてほしいです。

髪剥いてるんだから向き合う。
ハゲは出してなんぼでしょ。



—同じハゲはいない。

人に触れ、人との違いを痛感してきたからこそ言える力強い言葉だろう。
この柄のシャツが似合うのも自分を知って、強烈な個性に向き合った山田さんにすごくよく馴染んでいた。

 

モデル:山田信介 整体師・経営者 / カメラマン:長谷川さや / インタビュアー: 高山

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